微生物 だけじゃない!?「微生物以外の発酵」

いそがしいヒトでも、すぐに始められて長く続けられる発酵食生活、「シンプル菌活」を提案します。正しい菌活は正しい知識から。今回は「微生物以外の発酵」について学びます。
発酵には直接微生物によるものだけでなく、微生物の生成する酵素による分解や自己消化も含まれます。麹菌の役割も、発酵ではなく酵素を生成して糖化することにあります。また、塩辛や茶などは、種類によって酵素発酵のモノもあれば微生物発酵のモノもあるのです。

麹の酵素による糖化

「糖化」とは、麹菌により生成された酵素アミラーゼによって食品中のデンプンがブドウ糖に分解されることです。日本の発酵食品で麹が用いられるのは、乳酸菌のエサとなる糖類をより多く生成するのが目的です。

糖類とは

「糖類」とは、糖質の中で分子量が小さく水溶性で甘味を有するものです。「糖質」とは、炭水化物から食物繊維を除いたもので、単糖類、小糖類、多糖類に分別されます。

 単糖類  糖質の基本となる物質で、これ以上小さくならない最小分子。 
  ブドウ糖(グルコース)
  果糖(フルクトース)
  乳糖(ガラクトース)
 少糖類 
 二糖類
 
 単糖類が少数結合したもの。
  オリゴ糖
 特に2個結合したものを二糖類と呼ぶ。
  乳糖 (ラクトース)= ブドウ糖 + ガラクトース
  ショ糖(スクロース)= ブドウ糖 + 果糖
  麦芽糖(マルトース)= ブドウ糖 + ブドウ糖
 多糖類 単糖類が多数結合したもの。
  グリコーゲン
  デンプン

自己消化による酵素発酵

「自己消化」とは、生体が死後、自己の保有する酵素により、自体の組織を分解していくことです。食品によって、自己消化でうま味の出るものがあり、適度に自己消化させることを「熟成」といいます。牛、豚、羊などは低温に保つことによって熟成がすすみ、アミノ酸が増加するとともに軟らかく、おいしくなります。魚介類などは、特に酵素の多い内臓などを材料に加えて自己消化させたものに「塩辛」などがあります。また、茶の種類によっては、茶葉が含む酵素による酸化発酵のモノもあります。

酵素発酵微生物発酵
 塩辛 イカの塩辛  微生物発酵塩辛(乳酸菌・石川県)  
紅茶
ウーロン茶
碁石茶(乳酸菌と麹菌・高知県)
阿波番茶(乳酸菌・徳島県)
プーアール茶(麹菌・中国雲南省)

熟成とは

「熟成」とは、適度に管理された温度、湿度などの条件下で、食品の微生物や酵素の作用を進行させる過程のことです。

熟成とは
1.十分に熟した状態になること。
2.物質を適当な温度・条件の下で長時間放置し、ゆっくりと化学変化等を行わせること。
3.発酵したものが熟すること。特に味噌や酒などの味にうま味が出ること。

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