シンプル菌活の大黒柱「納豆」(1)

いそがしいヒトでも、すぐに始められて長く続けられる発酵食生活、「シンプル菌活」を提案します。
日本を代表する発酵食品である納豆。栄養価が高く、その「手軽さ」と「手頃さ」でシンプル菌活にも欠かせない食材です。これまで「シンプル菌活メニュー」について、いろいろと考えてきましたが、一日の主要な栄養源として、「納豆」がくりかえし登場していました。そこで今回の記事では、この納豆について勉強します。

そもそも「納豆」とは

納豆は大豆を原料とした発酵食品で、発酵によって大豆のタンパク質がうま味成分に変化し、栄養価も美味しさもアップした食品です。「糸引き納豆」と「塩辛納豆」がありますが、通常「納豆」と言えば前者を指すことが多く、蒸した大豆に納豆菌を繁殖させて発酵させます。国内では「宮城野菌」「成瀬菌」「高橋菌」の三種類が主な納豆菌として用いられています。

菌八先生

他にも、ひきわり納豆をペースト状にした「雪割り納豆(五斗納豆)」や、乾燥させた「干し納豆」といった加工品もあります。

「納豆」の歴史

納豆の元祖は塩辛納豆で、中国では紀元前二世紀頃の遺跡からも出土しています。日本では奈良時代に伝来したと言われ、宮中料理としてつくられていました。その後、中国から塩辛納豆を持ち帰った僧たちが、寺院内で生産したことから「寺納豆」とも呼ばれ、京都等では今でもそうした伝統が残っています。室町時代になると、より短期間で生産できる「糸引き納豆」が多く作られ、日常食として親しまれるようになります。さらに江戸時代に入ると、秋から冬にかけた季節ものとして納豆売りが登場し、藁の上で大豆を発酵させていたことから「ざる納豆」「苞納豆(つとなっとう)」の名で売られていました。

菌八先生

納豆を生産する寺として、京都の大徳寺、天龍寺、一休寺や浜松の大福寺などが有名です。

「納豆」のつくりかた

前述の通り、稲の藁苞で包むのが伝統製法ですが、衛生面や完成品のムラが問題となります。現在は、純粋培養した納豆菌の分散液を蒸した大豆に散布し、発泡スチロール容器等に充填、保温することで発酵させる製法となっています。流通中にも発酵が進むため、これを見越して適度な熟成段階で出荷します。

菌八先生

納豆菌は、酸素が必要な好気性菌であり、商品の発泡スチロール容器に穴があけられているのはそのためです。

海外の「納豆」

大豆の発酵食品は海外にもあります。インドネシアでは、大豆や穀類に「クモノスカビ」を繁殖させ、白い菌糸で固められた「テンペ」が、日常食として親しまれています。日本の糸引き納豆に似たネバネバ食品としては、ネパールやブータンの「キネマ」、インドの「バーリュ」などがあります。

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